Recursive Video Art Project
Yüiho Umeoka
はじめに Introduction
「Recursive Video Art Project」は、作品から出力された映像や音声の信号を再び作品に入力する事で生じる、ヴィデオフィードバックやハウリングなどの機械の暴走を用いた作品群である。
入力を出力に再帰させて生じる現象を用いる事で、既存の映像ソフトでは実現できない映像表現をめざしている。
制作動機 Production Motive
この作品群を制作するきっかけは、大学の機材庫の奥から見つけた古いアナログモニターだった。
まわりの同級生がコンピューターを使った映像を何時間もかけて作る中、古びたモニターにカメラを繋げヴィデオフィードバックを用いる事でリアルタイムに映し出される、幾何学な映像に夢中になった。やがてプログラミングなどのリアルタイムな映像制作ソフトを用いる事でより幾何学で独特な映像を作り出し、使い古されたヴィデオフィードバックという表現に新たな可能性を求めた。
本プロジェクトはそれらの創作活動と様々な技法を掛け合わせた実験の結果である。
"Recursive Video Art Project"におけるRecursiveは再帰的、回帰的という意味があり、ヴィデオフィードバックやハウリングなどのアナログ的な"失われ行く技術"とプログラミングなどの新しい技術を生み出す"デジタル技術"を合わせる事でヴィデオアートの新しい表現方法を提案している。
また、このプロジェクトでは制作した作品をアーカイブする事で技術的なスキルの必要なヴィデオアートを後世に残すための活動を同時に行なっている。
ヴィデオフィードバックとは Video Feedback About
入力メディア(カメラや映像再生機器)を出力メディア(ディスプレイやプロジェクター)に繋げ再度、再生メディアに入力する事で閉鎖的な回路の状況を作り出す事で生じる現象である。代表的な例は、モニターに接続したカメラでモニター自体を撮影したときに起こる、合わせ鏡のような現象である。
ナム・ジュン・パイクや松本俊夫などの初期のヴィデオ・アーティストたちの多くはこのフィードバックに注目し作品を制作している。
参考文献
[1]artscape アートワード ヴィデオ・フィードバック 著者: 河合政之
http://artscape.jp/artword/index.php/ヴィデオ・フィードバック
[2]Science Art Gallery ビデオフィードバック映像 著者:山内啓司
https://www.npo-ista.org/gallery/004/scienceart4_g001.pdf